家事や育児の合間を縫って、毎日フルタイムで走り回っている主婦の皆さん。ふと「ここにボーナスのようなまとまった収入があったら、もっと家計が楽になるのに」とため息をつきたくなる瞬間はありませんか?
求人票や面接でよく耳にする「寸志」という言葉ですが、実際にフルタイムパートの寸志はいくらもらえるものなのでしょうか。この記事では、曖昧でモヤモヤしがちな寸志の相場や仕組みを丁寧に紐解き、あなたが将来の見通しを立てるための手助けをします。
【忙しい方へ:要点まとめ】寸志の相場は「数千円〜5万円」が一般的です
フルタイムパートの場合、会社の規模や業績によって幅がありますが、以下の3パターンが多く見られます。
- 寸志(お小遣い型): 5,000円〜1万円(現金手渡しなど)
- ミニボーナス型: 3万円〜5万円(給与振込)
- 賞与に近い型: 10万円以上(稀なケース)
法的な「支払い義務」は原則ないため、過度な期待は禁物ですが、就業規則に記載があれば権利として主張できる場合もあります。まずは「お小遣い程度」と考えておくのが無難です。
フルタイムパートの寸志はいくら?相場と支給の実態を知ろう

この記事で分かること
- フルタイムパートにおける寸志のリアルな金額相場
- 「賞与」と「寸志」の決定的な違いと法的な扱い
- 寸志を受け取った際にかかる税金や社会保険料の仕組み
- 扶養内で働く人が注意すべき「年収の壁」への影響
- 正社員との待遇差が気になったときの確認ポイント
フルタイムで働いている方にとって、夏や冬の支給額は、年末年始の特別費やローンの返済など、年間の家計計画を左右する大切な要素ですよね。ただ、正社員のような「基本給の○ヶ月分」という明確な基準が少ないため、「結局いくら入るの?」と不安を感じてしまうことも多いはず。ここでは、実際の現場でよく見られる金額の目安と、その背景にある実態について解説していきます。まずは、ご自身の職場がどのパターンに当てはまりそうか、イメージしながら読み進めてみてください。
「気持ち程度」から「ミニボーナス」まで3つの金額帯
「寸志」と一口に言っても、その中身は企業によって本当にまちまちです。ただ、実態としては以下の3つのレンジに分類されることが多いようです。特にフルタイムパートとして働くあなたの場合、勤務時間の長さや責任の重さが考慮され、短時間パートの方よりも少し色が付く傾向があります。
▼ 寸志の金額目安表
| パターン | 金額目安 | 特徴 |
|---|---|---|
| ① お気持ち型 | 3,000円〜1万円 | 年末などに現金支給されることが多い。「餅代」とも呼ばれる。 |
| ② 制度化型 | 3万円〜5万円 | 夏冬に定例で支給。「ミニボーナス」として規定されている場合も。 |
| ③ 成果配分型 | 5万円〜10万円超 | 業績が良い時や、処遇改善が進んでいる企業で見られるケース。 |
このように幅が広いため、「絶対にこれくらい」と断定はできませんが、家計の足しにするなら数万円程度を見込んでおくのが現実的といえます。もし、より詳細なボーナスの平均値や見極め方を知りたい方は、フルタイムパートの賞与平均と相場!ボーナスが出る会社の見極め方も参考にすると、会社選びの基準が明確になりますよ。
求人に「寸志あり」と書かれていても油断できない理由
仕事を探している時、求人票に「賞与あり」ではなく「寸志あり」と書かれていると、「おっ、ラッキー!」と少し期待してしまいますよね。しかし、この言葉には少し注意が必要です。「寸志」という表現は、会社側の「業績が良ければ出すけれど、約束はできないよ」というニュアンスを含んでいる場合が多いからです。
- 支給の確約ではない(ゼロの年もあり得る)
- 金額の規定がない(1,000円でも嘘にはならない)
- 個人の評価で決まる(欠勤があると減額される可能性)
「書いてあるから必ず数万円もらえるはず」と当てにしてローン返済などの計画を立ててしまうと、いざ支給されなかった時に家計が苦しくなってしまいます。あくまで「出たらラッキー」程度の臨時収入として捉えておくのが、心の安定につながります。
なぜ金額が曖昧?主婦が抱える寸志とボーナスの悩みを整理

「隣の会社のパートさんはしっかりボーナスが出たのに、うちは寸志だけ…」と、やり場のないモヤモヤを感じたことはありませんか? この曖昧さは、実は日本の雇用慣行における言葉の定義の曖昧さに起因しています。なぜこれほどまでに扱いが違うのか、その根本的な理由を整理してみましょう。仕組みさえ理解してしまえば、会社への過度な期待や失望で心をすり減らすこともなくなります。
「賞与」と「寸志」は一体何が違うのか整理しよう
一般的に「賞与(ボーナス)」と「寸志」は、支給される目的やルールに大きな違いがあります。賞与は労働の対価として制度化されていることが多いのに対し、寸志は会社からの「ねぎらい」の意味合いが強いのが特徴です。
▼ 賞与と寸志の主な違い
- 賞与: 就業規則や労働契約で「基本給の○ヶ月分」「業績連動」など算定基準が明確なケースが多い。生活給の一部として扱われる。
- 寸志: 社長の裁量や慣例で決まることが多く、算定基準が不明確。「志(こころざし)」という字の通り、感謝の気持ちを表す一時金。
ただし、名前が「寸志」であっても、毎年決まった時期に決まった金額が支払われ続けている場合は、実質的に賞与と同じ「賃金」とみなされることもあります。名称だけに惑わされず、実態を見ることが大切です。
会社に支給義務はない?期待しすぎると危険な落とし穴
ちょっと厳しい現実をお伝えすることになりますが、就業規則や雇用契約書に明記されていない限り、会社に寸志や賞与を支払う法的な義務はありません。労働基準法では「ボーナスを払わなければならない」という決まりはないのです。
- 就業規則に記載なし: 原則、会社の自由(支払わなくても違法ではない)
- 就業規則に記載あり: 会社に支払い義務が生じる(「業績による」等の但し書きがある場合は不支給も可)
そのため、長年勤めているからといって自動的に支給額が上がるわけではありません。家計を守るためには、この「義務ではない」という不安定さを前提に、毎月の給与だけで生活が回るように予算を組むこと。これが、最も確実なリスク管理となります。
寸志の疑問を解消!家計防衛のための重要ポイント5選

寸志の実態が少し見えてきたところで、次は実際に受け取る際や家計管理において注意すべき具体的なポイントを確認していきましょう。額面の金額だけを見て喜んでいると、思わぬ落とし穴にはまることもあります。せっかくの臨時収入でガッカリしないために、そして無用なトラブルで気まずくならないために、押さえておきたい5つの重要事項をまとめました。これらを知っておくだけで、支給日の明細を見た時の納得感が大きく変わります。
①金額相場:数千円から10万円超まで幅がある現実
前述の通り、寸志の金額はピンキリです。しかし、ご自身の職場がどの規模感なのかを把握する手がかりはあります。一般的に、個人経営のクリニックや小規模な事業所では現金手渡しで数千円〜3万円程度、大手チェーンや医療法人、製造業の工場などでは組織的な規定に基づき数万円〜10万円程度が出る傾向にあります。
- 小規模・個人経営: 5,000円〜3万円(寸志の色が濃い)
- 中規模・大手: 3万円〜10万円(賞与的な運用に近い)
同じ「フルタイムパート」でも、業界や企業規模によってこれだけの差があることを理解しておくと、提示された金額に対する納得感や、あるいは「そろそろ転職かな?」と考える際の判断材料になります。
②手取り額:寸志でも税金や社会保険料は引かれる
「寸志だから、そのまま全額お小遣いになるでしょ?」と思っていると、明細を見て驚くことになります。たとえ名目が「寸志」であっても、会社から労働の対価として支払われる以上、きっちりと税金や社会保険料の対象となります。
- 所得税: 源泉徴収されます(前月の給与額に応じた税率で計算)。詳しくは国税庁:賞与に対する源泉徴収などの公的情報を確認しておくと安心です。
- 社会保険料: 健康保険・厚生年金に加入している場合、「標準賞与額」として保険料が引かれます。
- 雇用保険料: 支給額に料率を掛けて引かれます。
一般的に、額面の約8割程度が手取りになると考えておくと良いでしょう。「やった、3万円もらえる!」と喜び勇んで買い物カゴをいっぱいにする前に、約6,000円程度は引かれることを想定しておくのが賢明です。
③支給時期:夏冬の年2回か決算後の1回かを確認
寸志が出るタイミングも会社によってまちまちです。一般的な賞与と同じく夏(6〜7月)と冬(12月)の年2回支給されるケースもあれば、会社の決算月(3月や9月など)の後に「決算賞与」として年1回だけ出るケースもあります。
- 年2回支給: 毎月の家計の補填として計画しやすい。
- 年1回支給: 忘れた頃に入ってくる臨時収入的な位置づけ。
- 不定期: 業績が良い時だけ出る「大入り袋」のようなもの。
支給時期がずれると、年末年始の出費や税金の支払いに当て込んでいた計画が崩れてしまいます。先輩パートさんなどに「この会社はいつ頃出るんですか?」とさりげなく聞いておくのが安心です。
④扶養の壁:103万円や130万円を超えるリスク
配偶者の扶養に入りながら働いている方や、税金の非課税枠を意識している方にとって、寸志は思わぬ「壁越え」の原因になります。寸志は給与所得に含まれるため、年収計算に合算しなければなりません。
▼ 寸志が影響する主な年収の壁
- 103万円の壁: 所得税が発生し、配偶者手当が打ち切られる可能性。
- 130万円の壁: 社会保険の扶養から外れ、自分で保険料を払う必要が出る。
「たった数万円の寸志をもらったせいで、手取りが減ってしまった」という悲しい事態を防ぐためにも、年末が近づいたら年収の累計額をしっかりチェックしましょう。働き方の調整については、年収200万!フルタイムパート主婦のリアルな家計簿と働き方でも詳しく紹介していますので、参考にしてください。
⑤格差の確認:正社員との違いに説明を求めてもいい
「同一労働同一賃金」の施行により、正社員とパートタイム労働者の間で、不合理な待遇差を設けることが禁止されました。もし、正社員と同じ責任、同じ業務量をこなしているにもかかわらず、正社員は数十万円のボーナスで自分は数千円の寸志だけ、という場合は、会社に説明を求めることができます。
- 業務内容が同じか: 責任の重さや転勤の有無などが比較ポイント。
- 説明を求める権利: パートタイム・有期雇用労働法に基づき、待遇差の理由を聞くことができます(参照:厚生労働省:同一労働同一賃金特集ページ)。
ただし、いきなり喧嘩腰で聞くのではなく、「今後の励みにしたいので、どのような基準で決まっているのか教えていただけますか?」と前向きな姿勢で確認するのが円満な解決への第一歩です。
実際のところどう?支給パターン別の具体的なケーススタディ
「他の人はどうなんだろう?」と気になりますよね。ここでは、実際にフルタイムパートとして働く方々が経験している寸志の支給パターンを、具体的なケーススタディとして紹介します。ご自身の状況と比較してみることで、「うちは平均的だな」「意外と恵まれているのかも」といった客観的な評価ができるようになります。不安を解消するための一つの材料としてご覧ください。
年末に現金で一律1万円が支給される「お小遣い型」
【ケースA:小規模クリニック勤務・勤続3年】
個人の病院や商店などでよく見られるパターンです。給与明細には載らず、院長や社長から「一年間ありがとう」とポチ袋に入った現金を渡されるケースもあります(※本来は課税対象として処理が必要です)。
- メリット: 予期せぬお小遣いとして素直に嬉しい。
- 注意点: 制度ではないため、院長の気分や経営状態で突然なくなることもある。
このタイプは、給与の一部というよりは「贈与」に近い感覚で受け取られていることが多いですが、あくまで会社からの「気持ち」として割り切るスタンスが必要です。
評価に応じて夏冬に3〜5万円が出る「制度化型」
【ケースB:食品製造工場勤務・勤続5年】
ある程度の規模がある会社では、パートタイマー用の評価シートがあり、A評価なら5万円、B評価なら3万円といったようにランク付けされていることがあります。
- メリット: 頑張りが金額に反映されるため、モチベーションにつながる。
- 注意点: 欠勤や遅刻が響くことが多く、体調不良などで休むと減額されるシビアさがある。
このケースでは、就業規則や賃金規程にルールが明記されていることが多いため、一度規定を確認してみると、より高い評価を得るための目標が見えてくるかもしれません。
支給ゼロの年があっても違法にならないケースとは
【ケースC:一般事務・勤続2年】
「去年は出たのに、今年は出なかった」という事態も現実に起こります。求人票に「賞与あり(業績による)」と書かれている場合、会社の利益が出ていなければ支給ゼロでも違法にはなりません。
- 理由: 賞与はあくまで「利益の分配」や「功労への報い」という性質が強いため。
- 対策: 支給をあてにしたローン払いや大きな買い物を避ける。
特に中小企業では業績の波がダイレクトに影響します。「出ないこともある」という前提で家計を守りつつ、支給された時は貯蓄に回すなどの堅実な管理が求められます。
寸志に関するよくある質問まとめ!税金や権利の不安を解消
最後に、寸志について多くのフルタイムパート主婦の方が疑問に思う点にお答えします。お金のことや職場の人間関係に関わることは、なかなか同僚には聞きづらいものですよね。ここで疑問を解消して、スッキリとした気持ちで日々の業務に取り組めるようにしましょう。
手渡しなら税金は引かれないというのは本当ですか?
いいえ、それは誤解です。たとえ現金での手渡しであっても、会社が税務処理を適正に行っている限り、それは「給与・賞与」として扱われます。後日渡される給与明細に「寸志」などの項目で記載され、そこから所得税などが天引きされている(あるいは年末調整で精算される)のが正しい処理です。もし明細に記載がなく税金も引かれていない場合は、会社側の処理漏れの可能性もありますが、受け取る側が脱税を問われるリスクは低いものの、正しい納税意識を持つことは大切です。
正社員はボーナスがあるのにパートは寸志だけなのはなぜ?
これには「職務の範囲」と「人材活用の仕組み」の違いが理由として挙げられることが一般的です。裁判例などでも、正社員は転勤や重い責任を負い、長期的なキャリア形成が期待される一方で、パートは限定的な役割であるとして、賞与の差を「不合理ではない」と判断する傾向がまだ残っています。しかし、完全に同じ仕事をしているのであれば、交渉の余地はあります。
面接で「寸志はいくらですか」と聞いても大丈夫?
お金の質問はしにくいものですが、生活がかかっている以上、確認することは決して悪いことではありません。ただし、聞き方には配慮が必要です。
「ボーナスは出ますか?」と単刀直入に聞くよりも、「昨年実績として、フルタイムの方はどの程度支給されていたか、目安があれば教えていただけますか?」と、あくまで実績や目安を尋ねるスタンスであれば、角が立たず、採用担当者もしっかりとした生活設計を持っている人だと好印象を持つ可能性があります。
自分の待遇を正しく把握して家計の年間計画を立てよう

フルタイムパートの寸志は「数千円〜5万円」が相場であり、必ずしも支給されるものではないことが分かりました。金額が少なくても、まずは「もらえるだけありがたい」と受け止めつつ、正社員との待遇差に疑問を感じたときは冷静に確認してみることも一つの選択肢です。大切なのは、寸志をあてにしすぎず、毎月の給与で確実に家計を回せる基盤を作ることです。この記事で得た知識を武器に、ご自身の働き方や家計管理を見直して、より安心して働ける環境を整えていきましょう。