「毎日頑張っているのに、仕事が終わらない…」
「月20時間の残業って、ワーママにとっては普通なの?」
「仕事と家庭、どうやったらうまく両立できるんだろう…」
こんにちは!
日々、仕事に家事に育児にと奮闘されているワーキングマザー(ワーママ)の皆さん。
本当に、本当にお疲れ様です。
お子さんが小さい時期は特に、自分の時間なんて夢のまた夢…。
朝起きてから夜寝るまで、息つく暇もないほど目まぐるしい毎日を送られていることと思います。
その気持ち、痛いほど分かります。
そんな中で、「残業」という大きな壁にぶつかっている方も少なくないはず。
もしあなたが、「月20時間くらいの残業が当たり前になってきて、正直もう限界かも…」と感じているなら、この記事がきっとお役に立てるはずです。
この記事では、そのリアルな実態や心身への影響、そして「もう無理…」と感じる前に試してほしい具体的な対策について、客観的な情報をもとに、分かりやすく解説していきます。
決してあなた一人で悩まないでくださいね。
一緒に、あなたに合った働き方を見つけるヒントを探していきましょう!
- 月20時間の残業は、多くのワーママにとって決して軽い負担ではない。
- 残業の辛さには複合的な理由があり、法的基準や給与影響の知識が助けになる。
- 業務改善、交渉、外部活用、転職など、状況を変えるための具体的な対策は存在する。
- 一人で抱え込まず、完璧を目指さず、自分に合ったバランスを見つけることが最も大切。
ワーママ残業20時間の実態と心身への影響

ワーママが残業で「辛い」と感じる理由
あなたが今、残業を「辛い」と感じているなら、その理由はきっと一つだけではないはず。
いくつかの要因が複雑に絡み合っているのではないでしょうか。
1. 終わらないタスクと時間との戦い
まず、何と言っても圧倒的な時間的な制約ですよね。
朝は子どもの準備と自分の身支度で、まるで戦場。
日中は仕事に集中し、気づけばもうお迎えの時間!
「あと少しだけ…」と思って残業すると、保育園の延長保育料金が気になったり、パートナーや家族に「ごめん、今日もお迎えお願い!」と頼むことになったり。
なんとか帰宅しても、そこからがまた本番。
夕食の準備、お風呂、寝かしつけ…と、息つく暇もありません。
残業で帰宅が遅くなればなるほど、こうしたタスクをこなす時間はどんどん短くなり、焦りや罪悪感につながることも。
「子どもとの時間も、自分の時間も全然ない…」
「何のためにこんなに必死で働いているんだろう…」
ふと、そんな風に感じてしまうこともあるかもしれません。
私もかつて、保育園のお迎えに間に合わなくて、自転車で泣きそうになりながら帰った日がありました…。
2. じわじわ蝕まれる心と体
次に、心と体への大きな負担です。
残業が続けば、一番先に削られるのは、やはり睡眠時間ではないでしょうか。
慢性的な寝不足は、本当に侮れません。
日中の集中力が落ちて仕事の効率が悪くなったり、うっかりミスが増えたり。
それだけでなく、体が常にだるかったり、頭痛がしたり、風邪を引きやすくなったり…。
心の面でも、余裕がなくなってきますよね。
普段なら気にならないような些細なことでイライラしてしまったり。
つい子どもやパートナーにキツく当たってしまい、後で自己嫌嫌悪に陥ったり…。
そんな悪循環にハマってしまうワーママも少なくないのです。
だからこそ、“休む勇気”も、働くママにとっては大事なスキルのひとつなんですよ。
3. 「ワンオペ育児」と罪悪感
さらに、家事・育児との両立がどんどん困難になるという現実もあります。
仕事でクタクタになって帰ってきても、家事は待ってくれません。
特にパートナーの帰りも遅いなど、「ワンオペ育児」状態で奮闘している方にとっては、残業はさらなる負担増に直結します。
「もう、体がいくつあっても足りない!」と感じるのは当然のこと。
また、「今日も残業で、子どもとゆっくり話す時間もなかったな…」
「疲れていて、ちゃんとしたご飯を作ってあげられなかった…」
そんな風に、子どもに対する罪悪感を抱えてしまうワーママも多いようです。
家事が思うように進まないストレスも、じわじわと心を蝕んでいきます。
4. 仕事上のプレッシャーと不安
仕事そのものに関する課題もあります。
そもそも業務量が多すぎて、時間内に終わるはずがないというケース。
あるいは、時短勤務のはずなのに、なぜかフルタイムの人と同じくらいの仕事を任されている、なんてことも。
時間的な制約がある中で成果を求められ、焦りやプレッシャーを感じる。
「このままじゃ、キャリアアップなんて無理かも…」
そんな風に、将来のキャリアに対する不安を感じることもあるでしょう。
加えて、子どもの急な発熱などで、どうしても早退したり休んだりしなければならない場面。
そんな時に、職場の上司や同僚から理解が得られず、冷たい視線や言葉を向けられる…。
これも、ワーママにとっては非常に「辛い」と感じる瞬間です。
5. 経済的な事情
最後に、本当は辛いけれど、経済的な理由から残業を続けざるを得ない、という方もいらっしゃるかもしれません。
子どもの教育費や将来の備えを考えると、簡単には収入を減らせない、という現実もありますよね。
これらの理由が一つ、あるいは複数重なることで、ワーママは残業に対して「辛い」と感じてしまうのです。

「ワーママ残業当たり前」という職場の空気
「みんな残業してるし、私だけ先に帰るのは、なんだか気が引ける…」
「時短勤務だからって、甘えてるって思われたくないな…」
もしかしたら、あなたも職場でこんな風に感じたことがあるかもしれませんね。
残念ながら、未だに残業が常態化していて、「ワーママだって残業して当たり前」というような空気が漂っている職場も存在します。
上司や周りの同僚が、長時間働くことを「美徳」と考えているような環境だと、定時で帰ることに罪悪感を覚えてしまったり、本当は断りたい残業を断れなかったり…。
ワーママにとっては、非常に働きづらい状況と言えるでしょう。
ある調査によると、なんとワーママの約86%が「今働いている職場で残業がある」と答えているそうです。
この数字、驚きですよね。
背景には、「時間内に仕事が終わらないのは、あなたの能力不足では?」という無言のプレッシャーや、「子育て中」という状況を言い訳にしたくない、というワーママ自身の責任感の強さも影響しているのかもしれません。
また、会社によっては、サービス残業(残業代が支払われない残業)が暗黙の了解になっていたり、評価制度が労働時間の長さと連動していたりするケースも…。
時短勤務を選んでいても、「どうせすぐ帰るんでしょ?」という目で見られたり、「周りに迷惑かけてるんだから、少しは残業したら?」という雰囲気に押されたりして、結局残業せざるを得ない…なんて話も耳にします。
もちろん、「短い時間で働く分、周りがその分をカバーしてくれている」という側面があるのも事実かもしれません。
だからこそ、ワーママ自身もどこか負い目を感じてしまい、「少し無理してでも頑張らないと」と考えてしまう気持ちも、よく分かります。
しかし、こうした状況は決して健全ではありませんよね。
企業側が、子育て中の社員を含めた多様な働き方を認め、支援する姿勢(ダイバーシティ&インクルージョン、略してD&I)をどれだけ持っているか、という点も、働きやすさを考える上で重要なポイントになりそうです。
平均は?ワーママは何時間働いていますか?
「周りのワーママは、実際どのくらい働いているのかな?」
「私の働き方って、普通なのかな?」
他の人の状況が気になる、という方も多いのではないでしょうか。
ただ、実際のところ、ワーママの働き方は本当に人それぞれ。
ライフステージや子どもの年齢、家庭の状況、会社の制度などによって大きく異なるため、「これが平均!」と一概に言うのは難しいのが現実です。
主な働き方のパターンとしては、以下のようなものが挙げられます。
- フルタイム勤務(1日8時間、週40時間): 正社員や契約社員の方に多いパターンです。産休・育休前と同じように、フルタイムで第一線で活躍し続けることを選ぶワーママもいます。
- 時短勤務(1日6時間程度など): 子育てや介護と仕事の両立を支える法律(育児・介護休業法)で定められた制度を利用し、1日の労働時間を短縮する働き方です。子どもが3歳になるまで(会社によっては小学校入学前までなど、独自に延長している場合も)利用できます。厚生労働省の調査(※)によれば、3歳未満の子どもを持つ女性正社員の約6割が、1日8時間未満の勤務を選んでいるというデータもあります。(※執筆時点での最新データを確認)
- パートタイム勤務(1日5時間以下など): より柔軟な働き方を求めて、あるいは扶養の範囲内で働くために、パートタイムを選択するワーママもいます。午前中だけ、あるいは週に数日だけ、といった働き方も可能です。
このように、雇用形態や利用する制度によって、働く時間は大きく変わってきます。
国が行っている労働時間に関する調査(厚生労働省「毎月勤労統計調査」など)はありますが、「ワーママ」という括りに限定した平均労働時間や平均残業時間についての最新の公式データは、なかなか見つけにくいのが実情です。
ただ、一般的な傾向としては、やはり出産・育児を機に働き方を見直す方が多いようです。
出産前はフルタイムで残業もこなしていたけれど、復帰後は時短勤務を選んだり、残業の少ない部署へ異動したり、パートタイムに切り替えたり…。
その結果として、月間の総労働時間は、出産前と比べて減少するケースが多いと言えるでしょう。
あなたの働き方が周りと違っていても、それがあなたと家族にとってベストな選択であれば、何も気にする必要はありませんよ。

月20時間残業だと給料はいくら?計算例
残業が続くと、体力的にも精神的にもキツいけれど、「その分、お給料は増えるはず…」と、少しだけ期待してしまいますよね。
実際、月20時間の残業で、どのくらい給料が増えるのでしょうか?
これは、あなたの基本給や各種手当、そして会社の就業規則(特に「月平均所定労働時間」※)によって変わってきます。
※月平均所定労働時間:年間(または月間)の決まった労働時間を平均したもの。通常、160時間~177時間程度が多いです。
基本的な残業代の計算式は、こうなっています。
残業代 = ①1時間あたりの基礎賃金 × ②残業時間(20時間) × ③割増率
それぞれの項目を少し詳しく見てみましょう。
① 1時間あたりの基礎賃金
これは、あなたの時給のようなもの。
計算方法は「(月給 - 除外手当) ÷ 月平均所定労働時間」です。
ポイントは「除外手当」。家族手当、通勤手当、住宅手当など、労働そのものとは直接関係が薄い手当は、この計算から除外されるのがルールです。
② 残業時間
今回は「20時間」ですね。
③ 割増率
ここが少しややこしいポイント。
法律で定められた労働時間(法定労働時間:1日8時間・週40時間)を超えて働いた場合は、1.25倍の割増率が適用されます。
さらに、深夜(22時~翌5時)に働けば1.5倍、法定休日に働けば1.35倍になります。
「あれ?時短勤務だと割増にならないこともあるの?」
その通りなんです。
例えば、あなたが1日6時間の時短勤務をしていて、2時間残業して合計8時間働いたとします。
この場合、まだ法定労働時間の「8時間」を超えていないので、原則として割増率は適用されません(通常の1.0倍)。
割増になるのは、あくまで法定労働時間を超えた部分に対して、ということになります。
月20時間の残業だと、日によっては法定時間を超えることもあるでしょうが、常に1.25倍で計算されるわけではない、という点は覚えておきましょう。
【月20時間残業した場合の給与計算例(あくまで目安)】
※月平均所定労働時間を160時間、基礎賃金計算時に除外手当はないものと仮定。
給与体系(例) | 月給(基礎賃金相当) | 1時間あたり基礎賃金 | 残業代(割増なし:1.0倍) | 残業代(割増あり:1.25倍) |
月給制 (基本給のみ) | 300,000円 | 1,875円 | 37,500円 | 46,875円 |
月給制 (基本給のみ) | 250,000円 | 1,563円 | 31,260円 | 39,075円 |
年俸制 (年俸600万円) | 500,000円 (月額換算) | 3,125円 | 62,500円 | 78,125円 |
歩合給制 (基本給15万+歩合10万) | 250,000円 | 1,563円 | 31,260円 | 39,075円 |
時給制 (時給1,500円) | - | 1,500円 | 30,000円 | 37,500円 |
知っておきたい注意点
- 固定残業代(みなし残業代): もしあなたの給与に「月〇時間分の残業代を含む」といった固定残業代が含まれている場合、その定められた時間を超えて残業した分については、別途残業代が支払われなければなりません。「固定残業代だから、いくら残業しても追加はない」というのは間違いです。
- 1分単位での計算: 残業代は、法律上「1分単位」で計算するのが原則です。会社によっては「15分未満は切り捨て」といったルールを設けている場合もありますが、これは違法となる可能性があります。タイムカードや勤怠記録を確認してみましょう。
- サービス残業は違法: 言うまでもありませんが、残業したのに残業代が支払われない「サービス残業」は法律違反です。
一度、ご自身の給与明細と雇用契約書、会社の就業規則などを確認し、残業代が正しく計算され、支払われているかチェックしてみることを強くおすすめします。もし疑問があれば、会社の人事部や総務部、あるいは外部の専門家(労働基準監督署や弁護士など)に相談するのも一つの方法ですよ。
ワーママ残業20時間から脱却するための対策

「もう、毎日ギリギリ…この状況、何とかしたい!」
「月20時間の残業でも、私にとっては限界ラインかも…」
もしあなたが今、そう感じているなら、それは決して大げさなことではありません。
法定基準で見ると「まだ大丈夫」な数字だとしても、日々時間に追われ、心身ともに余裕がないワーママにとっては、月20時間の残業は十分に「危険信号」と言える場合があるのです。
「このままじゃ、いつかプツンと糸が切れてしまうかもしれない…」
そんな不安を抱えながら働き続けるのは、とても辛いですよね。
でも、諦めないでください。
現状を変えるために、あなた自身ができること、試せることが必ずあります。
大切なのは、ただ闇雲に「頑張る」のではなく、
① 自分の状況を客観的に見つめ直し、
② 利用できる制度や権利について知り、
③ 具体的な対策を実行していくこと。
ここでは、ワーママが「残業20時間」の生活から一歩踏み出すための具体的な方法や考え方について、一緒に考えていきましょう。
きっと、あなたに合った解決の糸口が見つかるはずです。
残業は何時間からやばいですか?法的基準
「私の残業時間って、客観的に見てどうなんだろう?」
「法律的には、どのくらいからが『危険』とされているの?」
自分の状況を正しく把握するために、まずは残業時間に関する法的な基準を知っておくことが大切です。
これは、いざという時に自分を守るための知識にもなります。
月20時間って、そんなに危ないんですか?私の職場では“普通”って言われてるので、実感がわかなくて…。
職場の“普通”と、あなた自身の“限界”は別物です。数字で見ると軽く見えるかもしれませんが、毎日の疲れや心の消耗は人それぞれ。無理してしまう前に、“自分にとっての適正ライン”を見つめ直してみてくださいね。
1. 命に関わる「過労死ライン」
まず、最も深刻な基準が「過労死ライン」です。
これは、厚生労働省が「この時間を超えて働くと、脳卒中や心筋梗塞、精神疾患などを発症するリスクが極めて高まる」と定めている、命に関わる非常に危険な残業時間の基準を指します。
- 発症する前の1ヶ月間に、残業時間が「100時間」を超えている場合
- 発症する前の2ヶ月~6ヶ月間を平均して、毎月の残業時間が「80時間」を超えている場合
もし、ご自身や周りの方がこのラインに近い、あるいは超えるような働き方をしている場合は、直ちに改善が必要な、極めて危険な状態です。絶対に放置してはいけません。
2. 健康リスクが高まる「月45時間」
次に、健康への影響が出始めると考えられている目安が、残業時間「月45時間」です。
この時間を超えてくると、疲労がなかなか抜けず、健康障害(高血圧、睡眠障害、うつ病など)との関連性が強まると指摘されています。
3. 法律で定められた「残業時間の上限」
そして、労働基準法という法律で、会社が従業員に残業させられる時間には、原則として上限が定められています。それが「月45時間・年360時間」です。
ただし、「どうしても忙しい時期がある」などの特別な事情がある場合は、会社と従業員代表の間で特別な約束(36協定の特別条項と言います)を結ぶことで、この上限を超えることが認められる場合があります。
しかし、その場合でも、
- 年間の残業時間は720時間まで
- 残業と休日出勤を合わせて、月100時間未満
- 残業と休日出勤を合わせて、2~6ヶ月のどの期間で見ても、月平均80時間以内
- 月45時間を超えられるのは、1年のうち6ヶ月まで
といった、さらに厳しい制限が設けられています。これに違反すると、会社は法律違反となります。
じゃあ、「月20時間」の残業は?
これらの基準と比べると、月20時間の残業は、過労死ラインや法律上の上限には達していません。
「なんだ、まだ大丈夫なのか」と感じるかもしれませんね。
でも、思い出してください。これらはあくまで「法律上の最低ライン」や「命に関わる危険ライン」です。
月20時間であっても、あなたが「辛い」「きつい」と感じているならば、それは紛れもなく、あなたにとっての「やばい」サインなのです。
特に、もしその20時間が、残業代の出ないサービス残業だったり、十分な休息や睡眠時間を確保できていなかったりするならば、決して軽視できる状況ではありません。
数字上の基準も大切ですが、それ以上に、ご自身の心と体の声に正直に耳を傾けることが、何よりも重要ですよ。
危険度比較:ワーママ残業30時間/40時間/100時間
月20時間の残業でも、多くのワーママが「もう、いっぱいいっぱい…」と感じていますよね。
もし、これが30時間、40時間、あるいはそれ以上になったら、一体どうなってしまうのでしょうか?
ここでは、残業時間が増えることによる「危険度」の変化を、具体的に比較してみましょう。
残業時間(月) | 1日あたり目安 | ワーママへの影響・危険度レベル (あくまで目安です) | 法的リスク |
20時間 | 約1時間 | 【注意ゾーン】 プライベート時間が圧迫され始める・疲れを感じやすくなる・家事や育児にしわ寄せが出始める・「辛い」と感じる人が出始める | 適法 |
30時間 | 約1.5時間 | 【警戒ゾーン】 慢性的な疲労感、寝不足感・子どもと向き合う時間が減り、罪悪感が増す・イライラしやすくなり、家庭内の雰囲気が悪化する可能性・体調不良(風邪、頭痛など)のリスク↑ | 適法 |
40時間 | 約2時間 | 【危険ゾーン(黄信号)】 心身への負担がかなり大きい・自分の時間がほぼ消滅・ワークライフバランス崩壊の危機・集中力・判断力の低下が顕著に・健康障害リスクが具体的に上昇(月45時間~) | 適法 |
45時間超 | 2時間超 | 【超危険ゾーン(赤信号)】 健康障害リスクが明確に高まる・うつ症状など精神的な不調のリスクも急上昇・家庭生活への深刻な影響 | 原則違法 (要36協定特別条項) |
80時間超 | 約4時間超 | 【過労死ライン到達】命に関わるレベル。極めて深刻な健康リスク・睡眠時間が極端に不足・思考力低下、感情コントロール困難・家庭崩壊の危機 | 違法 (36協定特別条項でも違反) |
100時間 | 約5時間 | 【過労死ライン(単月)超】 いつ倒れてもおかしくない緊急事態・人間らしい生活の維持が困難・即座に状況を変える必要あり | 違法 (36協定特別条項でも違反) |
※1ヶ月の労働日数を20日として計算した場合の目安です。
この表を見ると、残業時間が長くなるにつれて、その影響は単なる「忙しさ」の増加ではなく、心身の健康、家庭生活、そして命そのものに対するリスクが、加速度的に高まっていくことが、お分かりいただけるかと思います。
月20時間で「辛い」と感じるのは、決して大げさなことではありません。
それは、より深刻な「危険ゾーン」への入口に立っているサインかもしれないのです。
今、ご自身の残業時間がどのくらいなのか、そしてそれがどのレベルに該当するのかを客観的に把握し、「まだ大丈夫」と無理をせず、早めに対策を考えることが、あなた自身と家族を守るために、とても大切になります。

ワーママが残業できない時の伝え方と権利
「今日はどうしても定時で帰らないと、保育園のお迎えが…!」
「子どもの具合が悪そうで、早く帰って様子を見たい…」
ワーママには、どうしても残業できない日、ありますよね。
でも、「断ったら、周りにどう思われるかな…」「仕事が遅れて迷惑かけちゃうかも…」なんて考えると、なかなか「できません」と言い出せない…。その気持ち、すごくよく分かります。
でも、知っておいてください。
困ったときに、あなたを守ってくれる「法律上の権利」があるんです。
それは、子育てや介護と仕事の両立を支える法律(育児・介護休業法)で定められている「時間外労働(残業)の免除」という制度です。
具体的には、
- 3歳になる前のお子さんを育てている方
- 介護が必要なご家族(要介護状態)をケアしている方
は、会社に対して「残業を免除してください」と請求する権利があります。(※一部、会社と従業員の間の取り決め(労使協定)によって、対象外となる場合もあります)
この請求が正式に認められれば、会社は原則として、あなたに残業をさせることはできなくなります。
これは、法律があなたに与えてくれた、大切な権利なのです。
ただし、権利があるからといって、伝え方には少し工夫が必要です。
一方的に「法律で決まってるので残業しません!」と突き放してしまうと、職場の人間関係がギクシャクしてしまうかもしれませんよね。
円満に、そして効果的に「残業できない」ことを伝えるためのポイントをいくつかご紹介します。
- 「相談」+「代替案」をセットで: 残業を依頼されたら、まずは「申し訳ありません。今日は子どものお迎えがあり、どうしても〇時までには退社する必要があるんです」と、正直に理由を伝えましょう。 その上で、「明日の朝一番で対応するのでは難しいでしょうか?」「〇〇の作業までなら今日中に対応できますが、いかがでしょう?」など、できる限りの協力姿勢や代替案を示すことが大切です。これが、業務の調整や分担について上司と話し合う良いきっかけにもなります。
- 「早めの予告」でトラブル回避: 残業ができない日が事前に分かっている場合(子どもの行事、通院など)は、できるだけ早く上司に伝えておくのが鉄則です。「〇月〇日は、子どもの〇〇のため、定時で失礼させていただきます」と事前に伝えておけば、上司も心の準備や業務の調整がしやすくなります。
- 日頃の「ありがとう」が鍵: 普段から、上司や同僚とのコミュニケーションを大切にしましょう。 助けてもらった時には「〇〇さん、さっきはありがとうございました!」と感謝の気持ちを言葉で伝えたり、自分が少し余裕がある時には「何かお手伝いできることありますか?」と声をかけたり。 こうした日々の積み重ねが、いざという時に「お互い様だから」と快く協力してもらえる土壌を作ります。
- 「チーム家族」との連携プレー: 急な残業依頼に備えて、事前にパートナーや家族と「もしも」の時の協力体制を話し合っておくことも、とても重要です。 「もし残業で遅くなったら、お迎えお願いできる?」「緊急の時は、どっちに連絡するのがスムーズかな?」など、具体的な役割分担や連絡方法を決めておくと、いざという時も慌てず対応できます。
- 「困った時の助っ人」を確保: 保育園の延長保育の利用方法や料金を事前に確認しておく。 地域のファミリー・サポート・センターに登録しておく。 信頼できるベビーシッターサービス(1時間あたり2,000円~4,000円程度が相場)を見つけておく。 こうした外部のサポートを事前に調べて準備しておくだけでも、「いざとなったら、こうしよう!」という選択肢が増え、大きな心の支えになりますよ。
最後に、大切なことですが、「残業免除」の権利は、「時間内に仕事が終わらなくても許される」という意味ではありません。
与えられた時間の中で、最大限のパフォーマンスを発揮できるよう、日々の業務効率を意識する姿勢も、周りの理解を得るためには必要かもしれませんね。
ワーママ残業どうする?具体的な対策7選
「もう、このままじゃ続かない!何か変えなきゃ!」
そう決意したあなたへ。残業20時間の生活から抜け出すための、具体的なアクションプランを7つのカテゴリーに分けてご紹介します。
「これならできそう!」と思えるものから、ぜひ試してみてくださいね。
- 仕事のやり方をガラッと変える!(効率化大作戦)
- まずは「見える化」: 自分が抱えている仕事を全部書き出してみましょう。それぞれの作業にどれくらい時間がかかっているか、ざっくりでも良いので把握することからスタートです。
- 「やることリスト」で迷わない: 緊急度と重要度を考えて、仕事に優先順位をつけます。「今日絶対やること」「今週中にやればOKなこと」を明確にして、計画的に進めましょう。朝一番や前日の夜にリストを作るのがおすすめです。
- 「集中タイム」を死守!: メールチェックやチャットの返信は時間を決めてまとめて対応。電話も留守電を活用するなどして、作業に没頭できる「邪魔されない時間」を意識的に作りましょう。
- 「できません」も時には必要: 自分のキャパシティを超える仕事量を頼まれたら、「申し訳ありません、今は他の業務で手一杯で…」と正直に伝えたり、「納期を少し延ばしていただけませんか?」と相談したりする勇気も大切です。
- 職場に「SOS」を発信する!(相談&交渉)
- 直属の上司に具体的に相談: 「月20時間程度の残業が続いており、体力的にも時間的にも厳しい状況です」と、現状の負担を具体的に伝えましょう。その上で、「業務量の調整は可能でしょうか?」「〇〇の業務を他の方にお願いできませんか?」など、具体的な改善策を相談してみましょう。
- 部署異動も視野に: 今の部署がどうしても残業体質で改善が見込めないなら、思い切って残業の少ない部署への異動を希望する、という選択肢もあります。
- 使える制度はフル活用!: 前述した「残業免除の請求」など、会社にある制度で使えるものは遠慮なく活用しましょう。
- 働き方の選択肢を広げる!(柔軟な働き方)
- 今ある制度をチェック: あなたの会社に、時差出勤やフレックスタイム制度(コアタイム以外は出退勤時間を自由に決められる制度)、リモートワーク(在宅勤務)は導入されていますか? もしあれば、積極的に活用しましょう。通勤時間がなくなるだけでも、生活は大きく変わります。
- なければ「提案」してみる: 制度がない場合でも、諦めずに導入を提案・交渉してみる価値はあります。「週に1日だけでもリモートワークできませんか?」など、スモールスタートで提案するのも手です。
- 「時短勤務」という選択: 現在フルタイムで働いているなら、時短勤務に切り替えることも大きな解決策の一つです。お給料は減ってしまうかもしれませんが(一般的に2~3割減程度が目安。ただし、2025年度から段階的に導入される「育児時短就業給付」(仮称)などの支援制度もチェック!)、確実に時間的な余裕が生まれます。
- 一人で抱え込まない!(協力体制の構築)
- 「チーム家族」で乗り切る: パートナーと、家事や育児の分担について、もう一度しっかり話し合いましょう。「言わなくても分かってくれる」は禁物。「見える化」ツール(家事分担アプリなど)を使うのも効果的。「いつもありがとう」と感謝を伝えることも忘れずに。
- 「外部のプロ」を頼る: 頼れる身内が近くにいない場合などは特に、ベビーシッター(1時間2,000円~4,000円程度)、ファミリー・サポート・センター(地域によって料金は異なる)、家事代行サービス(1時間2,500円~4,500円程度)などを積極的に活用しましょう。「お金で時間を買う」という発想も大切です。
- 職場の「戦友」と助け合う: 同じように頑張る職場の同僚とは、日頃から良好な関係を築いておきましょう。「困ったときはお互い様」の精神で、助け合える環境を作っておくと心強いです。
- 考え方を少し変えてみる(気持ちをラクに)
- 「完璧」じゃなくていい: 仕事も家事も育児も、全部100点満点を目指さなくて大丈夫。「今日は夕飯レトルトでもOK!」「掃除は週末まとめてやろう」など、自分の中の合格ラインを少し下げてみると、気持ちがグッと楽になりますよ。
- 「自分時間」を捻出する: たとえ5分でもいいんです。好きな音楽を聴く、温かい飲み物をゆっくり飲む、好きな香りのハンドクリームを塗る…など、意識的に自分をいたわる時間を作りましょう。
- 自分を「褒める」習慣: 「今日も一日よく頑張った!」と、毎日頑張っている自分自身をたくさん褒めてあげてくださいね。
- 便利なモノ・サービスを味方につける!(時短アイテム)
- 食事作りをラクに: ネットスーパーや生協の宅配で買い物の手間を削減。ミールキット(1食500円~800円/人程度。食材カット済みで時短効果大!)や、美味しい冷凍食品・お惣菜、デリバリーも賢く活用しましょう。
- 三種の神器!?時短家電: 食器洗い乾燥機、ロボット掃除機、洗濯乾燥機は、ワーママの強い味方。初期費用はかかりますが、毎日の家事負担を劇的に減らしてくれます。
- プロにお任せ!家事代行: 掃除、料理、洗濯など、苦手な家事や手が回らない家事をプロに依頼するのも◎。週1回、月1回でも利用すれば、心と時間に余裕が生まれます。
- 環境そのものを変える!(転職という選択肢)
- 色々試したけれど、どうしても今の会社では状況が改善しない…。そう感じるなら、転職も有効な選択肢です。残業が少ない会社、子育て支援に力を入れている会社、リモートワークやフレックスタイムが当たり前の会社を探してみましょう。
- ワーママに強い転職エージェントに相談すれば、一般には公開されていない求人を紹介してもらえたり、あなたの状況を理解した上でキャリア相談に乗ってもらえたりしますよ。
焦らず、一つひとつ。
あなたに合った方法で、少しずつ状況を改善していきましょうね。
最終手段?ワーママ残業退職の判断基準
「もう、これ以上は無理かもしれない…」
「いっそ、仕事辞めちゃおうかな…」
色々な対策を試しても、どうしても状況が改善せず、心も体も限界…。
そんな時、「退職」や「転職」という選択肢が頭をよぎるのは、自然なことです。
そして、それは決して「逃げ」ではありません。
むしろ、あなた自身と、あなたの大切な家族を守るための、勇気ある前向きな決断になり得るのです。
でも、いざ「辞める」と考えると、
「辞めた後、後悔しないかな?」
「次の仕事、ちゃんと見つかるかな?」
「収入が減って、生活は大丈夫?」
…たくさんの不安が押し寄せてきますよね。
勢いで決めて後悔しないために、一度立ち止まって、以下の点を冷静に考えてみませんか?
これが、あなたにとって最善の道なのかどうか、見極めるためのヒントになるはずです。
【「辞めようかな…」と思う、その背景は?】
- 限界サイン?身体からのSOS: 慢性的な寝不足、続く頭痛や胃痛、食欲不振、気分の落ち込み…。体や心が悲鳴を上げていませんか?
- 終わらない長時間労働: 残業や休日出勤が常態化していて、物理的にも精神的にも、もうこれ以上、仕事と家庭の両立は無理だと感じている。
- キャリアの行き詰まり: 時短勤務だからという理由で、やりがいのある仕事から外されたり(マミートラック)、昇進の道が閉ざされたりしていると感じる。
- 職場の理解不足: 子どものことで休んだり早退したりする度に、嫌な顔をされたり、協力が得られなかったりして、精神的に追い詰められている。
- 新しい道への想い: 今の仕事や働き方に疑問を感じ、「もっと自分らしく働きたい」「別の分野に挑戦したい」という気持ちが強くなっている。
環境を変えることは怖いけれど、勇気を出して一歩踏み出した時、自分の心がふっと軽くなるのを感じられるはずです。
【決断する前に、立ち止まって考えたいこと】
- 「やれること」は、すべて試した?: 上司への相談、部署異動の希望、利用できる制度の申請…など、現状を変えるためのアクションは、一通り試してみましたか? 「まだ試せる改善策があったかも」と後悔しないように、もう一度振り返ってみましょう。
- あなたの「限界」はどこ?: 「まだ頑張れるはず」と自分を奮い立たせるのではなく、「これ以上続けたら、本当に壊れてしまうかもしれない」という心と体の声に正直になってみてください。健康を損なってしまっては、元も子もありません。限界を感じる前に、決断することが大切です。
- 「チーム家族」との作戦会議はOK?: 退職は、あなた一人の問題ではありません。パートナーや家族に、今の状況、辛い気持ち、そして「辞めたい」と考えていることを、きちんと伝えましたか? 家族の理解と協力が得られているか、もう一度確認しましょう。
- お金の心配はクリアできそう?: 退職すれば、当然収入は減ります。失業保険はいつもらえる?いくらもらえる?(※自己都合退職だと通常2ヶ月程度の給付制限期間があり、すぐにはもらえません。金額も前職給与の50~80%程度です)、貯蓄はどのくらいある?パートナーの収入は?…など、転職活動期間中の生活費も含めて、具体的なお金のシミュレーションをしてみましょう。
- 「次」の働き方はイメージできてる?: もし転職するなら、どんな働き方(雇用形態、勤務時間、場所)で、どんな仕事内容を希望しますか? あなたのスキルや経験で、希望する条件の仕事が見つかりそうでしょうか? 不安な場合は、転職エージェント(特にワーママの転職支援に強いエージェントがおすすめ!)に登録して、キャリア相談や市場価値の診断をしてもらうのも有効です。ワーママに理解のある企業の非公開求人を紹介してもらえる可能性もありますよ。
- 「辞める」以外の選択肢は考えた?: 正社員として退職する、という道だけでなく、一度「休職」して心身を休め、じっくり考える時間を持つ、あるいは、パートタイムやフリーランス(業務委託)など、雇用形態を変えて働く、といった選択肢も検討してみましたか?
もし、「辞める」と決めたなら。
円満に退職するためには、会社のルール(就業規則)を確認し、通常1ヶ月~2ヶ月前など、定められた期間までに直属の上司に退職の意思を伝えましょう。
感情的にならず、感謝の気持ちも伝えつつ、引き継ぎを責任持って行うことが、社会人としてのマナーです。
退職理由は、正直に家庭の事情などを伝えつつも、前職への不満ばかりにならないよう、言葉を選ぶと良いでしょう。
あなたの決断が、より良い未来への第一歩となることを願っています。
まとめ:自分に合ったバランスを見つけよう

ここまで、ワーママが直面する「残業20時間」の壁について、その実態、心身への影響、そして乗り越えるための具体的な対策や考え方をお伝えしてきました。
月20時間の残業。
ある人にとっては「まだ大丈夫」な範囲かもしれません。
でも、別の人にとっては「もう限界」と感じるほどの大きな負担になり得ます。
子どもの年齢や性格、パートナーの協力体制、あなた自身の体力や価値観、そして職場の環境…。
様々な要因が絡み合って、その「重さ」は変わってくるのです。
だからこそ、一番大切なのは、周りの「当たり前」や「普通」に流されず、あなた自身の「辛い」「きつい」という心と体の声に、正直に耳を傾けること。
もし今、あなたが限界を感じているなら、決して一人で抱え込まないでください。
そんな、あなたにとって一番心地よい、オリジナルのワークライフバランスを見つけるためのお手伝いが、この記事で少しでもできていれば、とても嬉しいです。
最後までお読みいただき、本当にありがとうございました。
頑張るあなたの毎日を、心から応援しています!
記事のまとめ
- ワーママにとって月20時間残業は決して軽い負担ではない
- 時間・心身・家庭・仕事の複合的な理由で「辛い」と感じる
- 残業当たり前の職場環境が精神的な負担を増やすこともある
- ワーママの平均労働時間は多様だが時短勤務も多い選択肢
- 残業代は割増条件や固定残業代など仕組みの理解が不可欠で
- 法的基準(月45時間超リスク増、80時間超危険)で客観視は重要
- 残業30時間、40時間と増えるほど心身・家庭への危険度は増大する
- 残業免除の権利を知り、上手な伝え方で交渉することも可能
- 業務改善・相談・働き方変更・サポート活用など対策は多岐にわたる
- 完璧主義を手放し外部サービスを活用するのも有効な手段
- 様々な対策を講じても限界なら退職・転職も前向きな選択肢
- 一人で抱えず自分と家族に合うバランスを見つけることが最優先