「えっ、フルタイムで働いているのに社会保険なし…?それって普通なの?」
もしかして、今あなたはそんな不安を抱えて、このページにたどり着いたのではないでしょうか。毎日一生懸命働いているのに、社会保険に入れてもらえないなんて、納得いきませんよね。「もしかして違法?」「将来、年金はどうなるの?」…そんな疑問や心配で頭がいっぱいかもしれません。
安心してください。この記事では、「フルタイムなのに社会保険なし」という状況が、実はどういうことなのか、そして、どうすればこの状況から抜け出せるのか、その具体的な方法を、わかりやすく解説していきます。
「フルタイム」で働くあなたにとって、「社会保険なし」という状態がどんなリスクをはらんでいるのか、一緒に確認していきましょう。そして、もし今、あなたが社会保険に未加入だとしたら、どう行動すれば良いのか、具体的なステップを一緒に考えていきましょう。
- 原則、フルタイム勤務なら社会保険加入は義務。未加入は違法の可能性あり。
- 未加入は、医療費負担増、将来の年金減額など、多くのリスクを伴う。
- まずは会社に相談。解決しない場合は、労働基準監督署など公的機関へ。
- 社会保険労務士などの専門家への相談も有効。状況改善の可能性大。
フルタイムなのに社会保険なし?違法性と対処法

社会保険の加入義務とは
社会保険って、毎月の給与から天引きされるし、ちょっと損した気分になることもありますよね。でも、いざという時の保障を考えると、入っておくメリットは大きいんです!
社会保険とは、病気やケガ、失業、老齢といった人生の様々なリスクに備えるための公的な保険制度です。健康保険、厚生年金保険、介護保険、雇用保険、労災保険の5つを総称して社会保険と呼びます。会社員や公務員など、企業に雇用されている方は原則として加入が義務付けられています。
社会保険の種類と保障内容
保険の種類 | 主な給付内容 |
健康保険 | 病気やケガで病院にかかった際の医療費の自己負担が3割になる(義務教育就学後~70歳未満の場合)、出産手当金、傷病手当金などが支給される |
厚生年金保険 | 老齢になった際に老齢基礎年金に加えて老齢厚生年金が支給される、障害を負った際に障害基礎年金に加えて障害厚生年金が支給される、死亡した際に遺族基礎年金に加えて遺族厚生年金が支給される |
介護保険 | 40歳以上の方が加入し、介護が必要になった際に介護サービスを利用できる |
雇用保険 | 失業した際に基本手当(失業給付)が支給される、育児休業給付金、介護休業給付金などが支給される |
労災保険 | 業務中や通勤中にケガや病気をした場合に治療費や休業補償などが支給される |
社会保険に加入すると、医療費の自己負担が軽減されたり、将来もらえる年金が増額されたり、失業や休業の際に給付金を受け取れたりするなど、様々なメリットがあります。しかし、保険料は給与から天引きされるため、手取りが減ってしまうというデメリットもあります。
標準報酬月額とは?
社会保険料は、「標準報酬月額」という金額を基に計算されます。標準報酬月額とは、毎月の給与(基本給+各種手当)を区切りの良い幅で区分したものです。健康保険は1等級の58,000円から50等級の1,390,000円まで全50等級、厚生年金保険は1等級の88,000円から32等級の650,000円まで全32等級に分かれています。
例えば、毎月の給与が225,000円の方の場合、健康保険の標準報酬月額は220,000円(20等級)、厚生年金保険の標準報酬月額は220,000円(15等級)となります。
この標準報酬月額に保険料率を掛けて、毎月の保険料が決まります。
フルタイム勤務での加入義務
うちの会社は従業員が少ない個人事業ですが、それでも社会保険に入れるのでしょうか?
個人事業主の会社でも、常時5人以上の従業員がいる場合は、強制適用事業所として社会保険の加入義務があります。ただし、5人未満の場合は、任意適用事業所となり、従業員の半数以上の同意があれば加入できます。会社に確認してみると良いですね!
フルタイムで働く場合、原則として社会保険への加入は必須です。具体的には、正社員や、1週間の所定労働時間および1か月の所定労働日数が正社員の4分の3以上であるパート・アルバイトの方が対象となります。
具体的な加入条件の例
例えば、正社員の週の所定労働時間が40時間、月の所定労働日数が20日の場合、
- 週30時間以上(40時間 × 3/4 = 30時間)
- 月15日以上(20日 × 3/4 = 15日)
働くパート・アルバイトの方は社会保険に加入する必要があります。
強制適用事業所と任意適用事業所
事業所には、「強制適用事業所」と「任意適用事業所」の2種類があります。
- 強制適用事業所: 法人事業所(株式会社、合同会社など)や、常時5人以上の従業員を雇用する個人事業所(農林水産業や一部サービス業を除く)は、社会保険の加入が義務付けられています。
- 任意適用事業所: 強制適用事業所以外の事業所は、従業員の半数以上の同意を得て、厚生労働大臣(日本年金機構)の認可を受けることで、社会保険に加入することができます。
もし、あなたの勤務先が強制適用事業所であるにも関わらず、社会保険に加入させてくれない場合は、違法行為にあたります。
社会保険未加入の理由とは
フルタイムで働いているのに社会保険に入れない…そんな状況に直面したら、不安になりますよね。まずは、なぜ未加入なのか理由をしっかり把握することが大切です!
フルタイムで働いているのに社会保険に加入していない…その背景には、いくつかの理由が考えられます。
会社側の理由
- 社会保険の加入手続きを怠っている: これは明らかに違法行為であり、早急に改善を求める必要があります。
- 社会保険料の負担を避けたい: 社会保険料は会社と従業員で折半するため、会社側の負担も大きくなります。この負担を避けるために、違法に社会保険に加入させないケースがあります。
事業所側の理由
- 強制適用事業所に該当しない: 前述の通り、個人事業主で従業員が常時5人未満の事業所(農林水産業や一部サービス業など)は、社会保険の加入義務がありません。
- 例: 個人経営の美容室、従業員が3人の小さな飲食店など
労働者側の理由(勘違いや誤解)
- 社会保険は自分で選択するものだと思っていた。:社会保険の加入は、条件を満たす労働者の義務です。しかし、それを勘違いして、自分で選択するものだと思っている。
- 社会保険に加入すると手取額が減るから入りたくない。:目先の収入が減るという理由で未加入のままにしている。
- 国民健康保険に入っているから大丈夫だと思っていた。:会社員は国民健康保険でなく、会社の健康保険に入る必要がある。
しかし、強制適用事業所であるにも関わらず、社会保険料の負担を避けるために、違法に加入させていない「ブラック企業」も存在します。
社会保険なしは違法?
強制適用事業所であるにも関わらず、従業員を社会保険に加入させないのは違法行為です。健康保険法第208条に基づき、「6カ月以下の懲役または50万円以下の罰金」が科される可能性があります。
違法行為が発覚した場合
- 過去2年分の保険料を遡って徴収される
- 追徴金として未納分の保険料の10%が加算される
- 会社の信用が失墜し、採用活動に悪影響を及ぼす
違法状態を放置することは、会社にとっても従業員にとっても大きなリスクとなります。
社会保険未加入のリスク
社会保険に未加入の状態で働くことは、従業員にとって様々なリスクがあります。
医療費のリスク
病気やケガをした際に、医療費が全額自己負担になってしまいます。国民健康保険に加入していれば3割負担で済みますが(義務教育就学後~70歳未満の場合)、未加入の場合は高額な医療費を支払わなければなりません。
例えば、風邪で病院を受診し、診察と薬の処方を受けた場合、全額自己負担だと数千円から1万円程度の費用がかかることがあります。
年金のリスク
将来もらえる年金が減ってしまう可能性があります。厚生年金保険に加入していれば、国民年金に加えて厚生年金が上乗せされますが、未加入の場合は国民年金のみとなります。
例えば、厚生年金保険に20年間加入していた場合と、加入していなかった場合では、老齢年金の受給額に年間数十万円の差が生じることもあります。
失業時のリスク
失業した際に失業給付(基本手当)を受け取ることができません。雇用保険に加入していれば、一定の条件を満たすことで失業給付を受け取ることができ、生活の支えとなりますが、未加入の場合は生活が困窮するリスクが高まります。
その他のリスク
- 傷病手当金や出産手当金が受け取れない: 健康保険に加入していれば、病気やケガで働けなくなった場合や、出産のために仕事を休んだ場合に、給付金を受け取ることができますが、未加入の場合はこれらの給付を受けることができません。
- 会社の信用問題: 社会保険に未加入であることが発覚すると、会社の信用が失墜し、取引先や顧客からの信頼を失う可能性があります。
フルタイム社会保険なしの解決策

会社が社会保険に入れてくれない…』そんな時に泣き寝入りする必要はありません! 具体的な対策を知っておくことで、自分の権利を守ることができます。
フルタイムで働いているのに社会保険に加入できていない…そんな状況を打開するための具体的な解決策をご紹介します。
社会保険がない会社 どうすればいい
まずは、勤務先の会社に社会保険の加入について相談してみましょう。上司や人事担当者に、自分の労働時間や雇用契約の内容を伝え、加入義務があるかどうかを確認します。
相談時のポイント
- 自分の労働時間や雇用契約の内容を正確に伝える: 雇用契約書や給与明細など、客観的な資料を用意しておくとスムーズです。
- 社会保険の加入義務について理解していることを伝える: 法律の知識があることを示すことで、会社側も真剣に対応してくれる可能性が高まります。
- 冷静に話し合う: 感情的にならず、冷静に話し合いを進めることが大切です。
もし、会社が対応してくれない場合は、労働基準監督署やハローワークなどの公的機関に相談することも検討しましょう。専門家のアドバイスを受けることで、適切な対応策を見つけることができます。
労働基準監督署への相談
労働基準監督署は、労働条件に関する相談を受け付けています。社会保険の未加入についても相談に乗ってくれ、必要に応じて会社に対して指導や勧告を行ってくれます。
ハローワークへの相談
ハローワークでは、雇用保険に関する相談を受け付けています。社会保険の加入状況についても確認し、アドバイスをしてくれます。
また、弁護士に相談することも一つの方法です。法的な観点から、会社に対して社会保険の加入を求めることができます。
社会保険労務士への相談
社会保険の専門家である社会保険労務士に相談すれば、より具体的なアドバイスを受けることができます。会社の状況や、法律に基づいた最善の解決策を提案してくれます。
国民健康保険への切り替え
会社が社会保険に加入してくれない場合、国民健康保険に加入することを検討しましょう。国民健康保険は、市区町村が運営する公的な医療保険制度です。
国民健康保険のメリット・デメリット
- メリット: 医療費の自己負担が3割になる(義務教育就学後~70歳未満の場合)
- デメリット: 厚生年金保険のような老齢年金の上乗せはない、保険料が全額自己負担となる場合がある
国民健康保険料の計算方法
国民健康保険料は、前年の所得や世帯の状況などによって決まります。例えば、東京都新宿区で年収130万円の場合、介護保険料込みで月額約8,500円です(令和5年度)。
国民健康保険に加入することで、医療費の自己負担を軽減できますが、厚生年金保険のような老齢年金の上乗せはありません。
アルバイトの社会保険
アルバイトやパートでも、一定の条件を満たせば社会保険に加入することができます。
2022年10月からの変更点
2022年10月からは、従業員数101人以上の企業で働く場合、
- 週の所定労働時間が20時間以上
- 月額賃金が8.8万円以上
- 2カ月を超える雇用の見込みがある
- 学生ではない
という条件を満たせば社会保険に加入できるようになりました。
2024年10月からの変更点
2024年10月からは、この要件が従業員数51人以上の企業にも適用されます。
社会保険に加入することで、将来の年金が増えたり、医療保険の給付が充実したりするなどのメリットがあります。
正社員で社会保険なしのリスク
正社員なのに社会保険に加入していない…これは非常に大きなリスクを伴います。
正社員が社会保険に加入しないことの違法性
正社員を社会保険に加入させることは、会社の義務です。違反した場合、会社は罰則を受ける可能性があります。
正社員が被る不利益
- 病気やケガ、失業などの際に十分な保障を受けられない
- 将来の年金額が少なくなる
- 会社の信用問題に発展する可能性がある
50人以下の会社の社会保険
従業員が50人以下の会社でも、法人であれば原則として社会保険の強制適用事業所となります。つまり、正社員や、一定の条件を満たすパート・アルバイトを社会保険に加入させる義務があります。
個人事業主の場合
個人事業主で従業員が常時5人未満の事業所(農林水産業や一部サービス業など)は、強制適用事業所ではありません。しかし、従業員の半数以上の同意を得て、厚生労働大臣(日本年金機構)の認可を受けることで、社会保険に加入することができます(任意適用事業所)。
週20時間労働と社会保険
週20時間以上働く場合、社会保険の加入対象となる可能性があります。
加入条件の詳細
2022年10月からは、従業員数101人以上の企業で働く場合、
- 週の所定労働時間が20時間以上
- 月額賃金が8.8万円以上
- 2カ月を超える雇用の見込みがある
- 学生ではない
という条件を満たせば社会保険に加入できるようになりました。
2024年10月からは、この要件が従業員数51人以上の企業にも適用されます。

よくある質問
Q. パートでも社会保険に加入できますか?
A. はい、一定の条件を満たせば加入できます。具体的には、正社員の4分の3以上の労働時間がある場合や、週20時間以上働き、月額賃金が8.8万円以上などの条件を満たす場合です。
Q. 社会保険料はいくらくらいですか?
A. 給与や加入する保険の種類によって異なります。標準報酬月額に保険料率を掛けて計算されます。
Q. 社会保険に加入したくない場合はどうすればいいですか?
A. 労働時間を週20時間未満に抑える、雇用期間を31日未満にする、社会保険の適用がない事業所で働くなどの方法があります。しかし、ご自身の将来設計や、万が一の時の備えを考えると、社会保険加入の検討をおすすめします。
Q. 社会保険の加入手続きは誰がするのですか?
A. 基本的に、勤務先の会社が行います。
Q. 扶養に入っている場合、社会保険の加入はどうなりますか?
A. 年収が130万円を超えると、原則として扶養から外れ、自分で社会保険に加入する必要があります。
Q 社会保険労務士に相談するメリットは?
A 社会保険労務士は社会保険の専門家です。メリットは、会社の状況を把握し、最新の法改正に対応した上で、最適なアドバイスや手続きの代行をしてくれる点です。
まとめ

フルタイムで働いているのに社会保険に加入していない場合、違法となる可能性があります。まずは、自分の勤務先の状況を確認し、必要であれば会社や専門機関(労働基準監督署、ハローワーク、社会保険労務士など)に相談しましょう。社会保険に加入することで、より安心して働くことができます。
記事のまとめ
- フルタイム勤務なのに社会保険未加入は違法の可能性がある
- 社会保険未加入の理由には会社側の都合や法的な誤解がある
- 社会保険未加入は医療費全額負担、将来の年金減額などのリスクがある
- 社会保険がない場合は、まず会社に相談、だめなら公的機関へ
- 国民健康保険への切り替えも選択肢だが、デメリットも理解が必要
- アルバイト・パートでも条件を満たせば社会保険に加入できる
- 2022年、2024年の法改正で社会保険の加入条件が拡大された
- 正社員で社会保険未加入は、労働者と会社の双方に不利益がある
- 従業員50人以下の会社でも、法人なら原則社会保険加入義務がある
- 週20時間以上労働は社会保険加入の重要な判断基準となる
- 社会保険に関する疑問は、専門家(社会保険労務士など)に相談できる
- 扶養に入っている場合でも、年収によっては自分で加入が必要